さくら通信 第22号

「母子健康手帳、お持ちですか?」

改めて母子健康手帳を考える特集。

妊娠届出書を持参し、住民票のある市町村区で交付される母子健康手帳。沢山のパンフレットと共に、ぴかぴかの手帳がお手元に。「妊娠おめでとうございます。元気な赤ちゃんを産んでくださいね。」と、始まったばかりの妊婦生活が何となくあたたかく守られているような・・・。
今回は、意外に知られていない母子健康手帳についてお伝えしたいと思います。

母子健康手帳 歴史

1942年、世界に先駆け日本で開発。
60年代には日本が母子保健で世界最高水準の国になりました!母子健康手帳の普及も大きな役割を果たしているということです。

利点

■母と子の健康データやワクチン接種記録。
■妊婦が持つと母親の自覚が生まれる。
■医療機関にとっても妊娠中からの母子の状況がわかり、初めての診察でも困りません。

世界を見てみると・・・

アメリカ・イギリス・・診察記録や成長曲線、予防接種歴を書き込む小児用の冊子を配布。
フランス・・女性の健康手帳と小児の健康手帳は別々に配布。
アジア・アフリカ・・予防接種や体重測定結果を記録する三つ折りカードを使用している国は多い。

妊娠・出産・子どもの健康の記録が一冊にまとめられていること、保護者が手元に保管できる形態であることを兼ね備えた母子健康手帳は、日本独自のシステムだということです。国際協力機構の専門員によると難民キャンプの妊産婦に手帳を普及させ「命のパスポート」とも呼ばれているそうです。
まだまだ母子健康手帳を知らない人や国も多く、世界のすべての国々で、母子手帳が使われるようになることを目指しているということです。

最近の動向

紙の母子健康手帳を補完するものとして、スマートフォンで妊婦健診の結果や子どもの成長などを記録できる「電子母子手帳」を導入する自治体が増えているということです。

電子母子手帳とは

■赤ちゃんの身長・体重や予防接種歴、妊婦健診の結果などをスマートフォンやパソコンで記録。
■入力情報は、外部のサーバーでも保管。
■アプリをダウンロードするタイプが多い。

主なメリット

■バックアップされたデータは、災害時やスマホの紛失時でも活用できる。
■予防接種のスケジュールを手軽に組み立てられる。
■導入している自治体の子育て情報を受け取れる。
■子どもの成長の様子を写真や動画でも保存できる。
などあげられています。全国60自治体が導入している様子。
皆さんは、電子母子手帳が使えるとしたら利用されますか?

妊娠中は、健診のたびに血圧、体重、尿検査の結果などを記録します。保護者の記入欄、健康状態、職業と環境、妊婦自身の記録欄など、どん どん記入していきましょう!
(参照:日本助産師会機関誌「助産師」朝日新聞9/2付元気のひけつ)

「退院後、いかがお過ごしでしたか?」

産後のこころの変化

出産という大役を果たした満足感・安心感の反面、疲労や育児への緊張感・ホルモンバランスの急激な変化によって、気分が不安定になりやすい時期があります。マタニティーブルーとは産後3~4日頃から2週間ぐらいの間にみられる、一過性の抑うつまたは不安定な状態のことをいいます。
涙もろさ、不安感、疲れやすい、考えがまとまらない、記憶力の低下などの症状があります。産後の30%ぐらいの人にみられるといわれます。無理をしない、焦らないで十分休息をとりましょう。そして周りの人に話を聞いてもらったり一人で抱え込まないようにしましょう。

当院でも10月より産後2週間健診がスタートしました。

子育ての悩みを聞きながら、ママの心の状態を把握して、支援が必要と判断した場合には地域と連携して育児のお手伝いをします。
育児で困っていることなども、気軽にご相談ください。
予約は、退院時にします。
詳細は、別紙にてご案内いたします。

日常生活における子育てのポイント

■子育てのハウツー本はあまり役立ちません。
■育児法に正解は1つではありません。
■ちょっと失敗してもやり直せばいい、やり過ぎはよくありません。
■70~80%のでき具合が最も良い。
■子育ては9割がシンドイもの、楽しさは残りの1割で、粉砂糖のように全体を包んでくれる…とも言われています。
(当院マタニティテキストより)

おわりに

厳しい暑さが予測されていた夏も、雨が多かったですね…。季節は秋、今年ももうわずかとなりました。秋の恵みをいただき、温かく冬の準備をしていきましょう。
発行:4階西病棟