さくら通信 第19号

お薬の話

「妊娠中はお薬が飲めない」と思っていませんか?
妊娠を継続させるために必要であったり、発熱など妊娠中の体調不良に対して使用したりと意外と機会はあります。
今回は、産科病棟担当の薬剤師である青木さんと水越さんに薬剤部の紹介と薬について、お話を伺いました。

当院 薬剤部の紹介

こんにちは!
私たち薬剤部は、薬剤師23名助手4名で業務にあたっています。調剤業務はもちろんですが、当院内の12病棟に1人ずつ担当薬剤師を配置しています。
入院患者さんへの服薬指導や副作用の早期発見、薬品管理など薬剤に関わる業務を行っています。


薬剤師の水越さん 青木さん

〈産科病棟での活動〉
・服薬指導や薬品管理
・注射混合業務
・医師や他の医療従事者からの質問に回答
・朝回診時に同行し薬剤使用状況の確認
を行っています。
妊婦・授乳婦さんが多く入院されているということもあり、患者さんが1番気になることは赤ちゃんへの薬剤の影響ではないでしょうか。患者さんが不安にならないよう、適切に説明できるように心がけています。質問があればどんどん聞いていただけると嬉しいです。
また月1回マタニティクラスにも参加しています。ここでは妊娠初期に使用する薬剤について説明しています。

妊婦さんによく使われる薬

お母さんの調子が悪いと赤ちゃんの調子も悪くなります。無理せず妊娠中でも使用できる薬剤を使って妊娠生活を過ごしましょう。
例えば・・・

切迫早産の薬
おなかの張りを抑える、子宮の収縮を抑える薬です。緊急性がなければ内服薬を飲んでもらうことになりますが、緊急の場合は入院して、点滴治療になる可能性もあります。人によっては動悸、手のふるえなどの副作用がでることもあり、それを抑える漢方薬を飲んでもらうこともあります。状態によって、使う量が異なります。

下剤・抗生剤・解熱鎮痛剤・点眼・点鼻・湿布薬・去痰剤・せき止め・漢方薬・カフェイン・胃薬etc
詳しくはマタニティーテキストP16~17を参照してください。

インフルエンザ
この時期、インフルエンザが流行っていますね。妊娠中もインフルエンザワクチンを接種することが可能です。インフルエンザウイルスを不活化したワクチンを妊婦が接種することで、抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに伝わり、生後6ヶ月は有効だといわれています。

花粉症
花粉症の季節がやってきて、花粉症をもっている方は鼻水、目のかゆみなど辛いですね。
点眼薬や点鼻薬は使用する部位にだけ効果を発揮するようにできているので、妊娠中でも点鼻薬や点眼薬などは安全に使用することができます。症状がひどいときには飲み薬を使用することもあります。

湿疹
妊娠による影響などで湿疹ができてしまい、ステロイド軟膏を使用する機会があるかもしれません。ステロイドと聞くとびっくりするかと思いますが、軟膏は点眼薬や点鼻薬と同じように安全に使用することができます。適切な量を使用してください。
体調が悪いときには我慢せず病院やクリニックを受診しましょう。
国立生育医療センターのホームページからアクセスできる「妊娠情報センター」もありますので、一度、見てみるのもいいかもしれません。

災害に備えよう災害発生後の対応

前号では「災害への備え」を掲載しました。今回は、万が一災害発生した場合の対応についてです。

妊婦さん
① 冷えると、お腹が張りやすくなります。できるだけ温かくしておきましょう。
② 血栓防止のため、足を動かしたり、水分をとりましょう。
③ 近隣病院や助産院へ連絡をしましょう。

赤ちゃんが生まれそうになったら
① 規則的な痛みが伴う張りがある時、出血や破水をした時は我慢せずに直ちに救助を求めてください。
② 破水時は清潔なタオルやおむつなどをあててください。
③ 赤ちゃんが生まれたら、赤ちゃんの顔を素早く拭いて、呼吸を確認しましょう。乾いた布で拭いて、お母さんの胸に抱いて保温しましょう。
④ 出産後、お母さんは2時間は横になり、安静にしましょう。

母乳・ミルクについて
① ショックで一時的に母乳量が少なくなることがありますが、飲ませ続けることでまた出るようになります。今まで通りの授乳方法を変えないことが大切です。
② 哺乳瓶がない時、消毒が十分ない時は、清潔なコップなどを使用しましょう。
③ カセットコンロを準備すると、ガスが止まってもミルク用のお湯を確保できます。
④ 硬水は消化不良を起こしやすいため、軟水を飲むようにしましょう。

編集後記
春はそこまできています。
東日本大震災から六年が経過しましたが、まだまだ復興には時間がかかります。当院も旧建物が大きな被害を受け、分娩室も仮住いであった時期がありました。
今でも地震の揺れがあると、あの時が思い出され恐怖を感じます。妊婦さんや、小さなお子さんがいる方は、いっそうのことと思います。日頃から備えをし、いざという時に身を守れるようにしたいものです。
発行:4階西病棟