河本 俊介 教育研修推進室長

【リクルート】インタビュー

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    教育研修推進室

    河本 俊介 教育研修推進室長

那須赤十字病院を、医師として成長する豊かな原点に

那須赤十字病院 初期臨床研修プログラムは、自由度が高く手厚いサポートが受けられます。早期に基礎的な手技を習得し、それぞれの希望に応じた研修を組めるのが特徴です。病院全体で研修医をサポートし、しっかりした技術と人間性を備えた医師を育成する方針です。

那須赤十字アピール

研修医を「一人も取り残さない」本気の教育を

教育研修推進室は、未来の医療を担う若い医師に、確かな臨床力と人としての豊かさの両方を備えた医師として育っていただく土壌を作るのが使命です。単に初期臨床プログラムを運営するだけではなく、研修医一人ひとりの悩みや不安に寄り添い、課題に直面したときには適切に指導し、支えるのが私たちの役割です。

具体的な業務は、研修医との定期的な面談、診療科との調整、ニーズに応じた研修内容の見直し、進路相談と多岐にわたります。研修医の成長を全職員で支える意識を共有できるように、全体への働きかけにも力を入れてきました。「一人も取り残さない研修」を合言葉に、温かくも本気の教育を実践しています。

自由度の高さと、手厚いサポートが両立する初期臨床研修プログラム

那須赤十字病院の初期臨床研修プログラム最大の魅力は、高い自由度と手厚いサポートが両立している点です。研修医1年目の前半では内科各科に加え、救急科・麻酔科を組み合わせたローテーションで診断力、初期対応、処置技術をしっかりと習得できます。例えば、気管内挿管や中心静脈穿刺といった基礎的な手技を早期に身につけられるのが特徴です。その後は自分の希望する診療科や興味に応じて、ローテーション先を柔軟に調整できます。診療科の垣根を越えた指導体制が整っており、疑問にすぐ答えられるのも強みです。特に2年次では、自分が将来進みたい診療科を重点的に選択でき、選択科目に制限はありません。研修医の「成長したい」気持ちに応えられる、自由と責任のバランスが絶妙なプログラムだと自負しています。

那須赤十字病院の初期臨床研修プログラムでは、考える力と行動力の育成を重視しています。研修開始から半年間は特にきめ細やかな指導を行い、その後は研修医が自ら考え、行動する力を育てる方針です。医師として成長するためには、単に手技を習得するだけでは不十分です。私たちは「なぜそうするのか」「患者さんにとって最善の治療は何か」を常に自ら考え続けなければなりません。そのため、上級医は常に研修医に問いかけて議論を促し、振り返りの機会を提供しています。

研修医は1学年6名(2026年度から7名)の少人数体制で、それぞれの個性に合わせて指導を行っています。数十名が在籍する大学病院とは異なり、ローテーション先や進路の相談、個々の希望に応じた柔軟な対応を随時行っています。

幅広い研修ニーズに応える「たすきがけ」連携と実践的な学び

那須赤十字病院は獨協医科大学病院との連携プログラム(たすきがけ)を通じて、研修医の幅広いニーズに応え、実践的な実力を育んでいます。那須赤十字病院にない小児外科、肺外科、心臓血管外科といった診療科は、この「たすきがけ」制度を利用して経験できます。また、同じ診療科であっても市中病院と大学病院では状況が異なるため、例えば獨協医科大学病院と那須赤十字病院の両方で泌尿器科を研修するといった選択も可能です。獨協医科大学病院の研修医も那須赤十字病院に1か月単位で研修に来ており、活発な交流があります。

大学病院との大きな違いは、研修医が担当する業務の範囲です。那須赤十字病院は時間外救急で来院された重症以外の患者さんに対して、まず研修医が1人で所見をとり、検査と治療方針を考える体制です。その後、上級医がフィードバックを行うため、より実践的な経験を積むことができます。プログラムを修了した医師からは「大学病院での研修医はまず中堅の医師の診療を見学するのが主ですが、市中病院は少人数制のため、研修医が主体で診療を行い、すぐに指導を受けられるのが非常に勉強になった」という声も聞かれます。働き方改革の影響で、時間外や休日の手術に参加する義務は課されていませんが、参加を希望する研修医が多く、オーバーワークにならない範囲での積極的な参加は大歓迎です。那須赤十字病院では、メリハリのある研修生活が送れるでしょう。

那須赤十字病院では、来年度から専攻医プログラムがスタートします。これまで整形外科以外は専攻医の進路がなかったので、研修医を終えた医師は他の施設へ進むケースがほとんどでした。専門医を取得後、那須赤十字病院に戻って仕事をしたいという希望も複数聞いています。外で経験を積んだ医師が、さらに成長して那須赤十字病院に戻り、地域医療に貢献してくれることを大いに期待しています。

病院全体で研修医の成長をサポート

若い医師には他科・他職種の声を受け止め、チームで働く感覚を養ってほしいと考えています。那須赤十字病院は常勤医が少ないので、例えば脳神経外科の急性期医療を提供するためには、内科の当直医が診察し、日勤帯で引き継ぐといった連携が不可欠です。このように、病院全体が垣根を越えてお互いに助け合う善意でシステムが成り立ち、機能しているのです。

研修医に対するサポートは、医師同士だけではなく病院全体で横断的に行っています。コメディカルのスタッフも非常に友好的に接してくれますし、生活面の支援やメンタルヘルス面もサポートしています。社会人1年生である研修医が、仕事や人間関係でつまずくのはありがちなことですが、そういったいわば「失敗」を恐れて、避けてばかりいては成長はあり得ません。私たちは研修医がまず行動し、問題があればフィードバックを受けて、自分の判断に責任を持てるよう指導しています。失敗しても1人にさせない、研修医が安心して挑戦できる環境づくりを心がけています。

何かトラブルがあれば、教育研修推進室の担当者2名が相談に応じます。私も常にPHSで連絡が取れるようにしているので、直接電話をかけていただいても構いません。人間関係での悩みは1人で抱え込まず、周囲に頼れる場を作るのが重要だと考えています。困りごとを自分から言い出せない場合も多いようなので、様子をみて教育研修推進室から面談を設定することもあります。社会人になって間もない研修医には、多忙で気持ちのコントロールがうまくいかなくなる状況もあるでしょう。指導を受けながら、人間的にも成長してくれるよう願っています。

経験を糧にキャリアを築く

私自身の研修医時代を振り返ると、失敗の連続でした。当時は研修医になりたてでも1人で当直を担当するなど、教育体制が不十分だと感じていました。だからこそ、現在の研修医の教育には、当時の経験もふまえて細やかな配慮をしています。現代では困ったときにAIを使う機会が増えてきましたが、今も昔も、やはり人間対人間の対話が問題解決には最も有効であることに変わりはありません。研修医の皆さんは、遠慮せずに上級医に積極的に相談し、指導を仰いでください。私たちもこれまでの経験を後進に伝えていきたいと考えています。

医師としてのキャリアを積み重ねる中で、ときには「寄り道」のように感じ、悩む時期があるかもしれません。私自身の話をすると、学生時代からずっと手術をメインにしたいと思っていましたが、医局の方針でメスを使わないガンマナイフ治療を担当していた期間がありました。治療法を習得するため、約4か月間アメリカに留学し、大学病院で約4年間、ガンマナイフ治療に従事しました。その間はメスから完全に離れた治療に没頭していましたが、常に手術が頭にあったのですぐに手術に戻れるよう、手術の独学も続けていました。その後、手術症例の多い病院へ異動し、若い医師たちと共に学び、脳血管障害の手術を専門とするようになったのです。キャリアを築く上で大切なのは、与えられた環境でベストを尽くし、さらに信念を持って初志貫徹する努力を続ける姿勢です。たとえその環境が自分の希望と完全に合致していなくても、長い目でみれば、力を尽くしたその努力は必ず自分の大きな糧となります。

プロフェッショナルとして患者さんに寄り添う医師とは

面接で学生にどのような医師になりたいかを尋ねると、多くの人が「患者さんに寄り添う医師」と答えます。医師が「寄り添う」というのは、単に共感したり慰めたり、物理的にそばにいるのではありません。医師という職業は、目の前の患者さんの家庭や仕事といった人生の背景にまで思いを巡らせ、痛みや不安に向き合い、何がベストなのかを深く考えるのが基本です。医学的・倫理的な根拠にもとづき、患者さんが本当に必要としている助けや情報を的確かつ誠実に届ける役割が求められています。患者さんと迷いや葛藤を共有しながらも、最終的には医師自身の信念をもって治療の道筋を示し、実践する必要があります。インテリジェンス(知能)とインテレクト(知性)、マインド(心)のバランスの取れた融合が、プロフェッショナルとしての「寄り添い方」だと考えます。多忙な中でも、患者さんの人生に静かに耳を傾ける余裕を持つ医師こそが、AIの時代においても信頼され、必要とされる存在になるでしょう。

医療の現場では、完全な正解がない状況に日々直面します。同じ病気であっても、患者さんの年齢や背景によって適切な治療は異なります。その患者さんにとって何が一番いいのか、迷ったり立ち止まったりしながらも考え抜き、前に進んでいくしかありません。その繰り返しの中で道を示すのは、患者さんを思う心や信念です。那須赤十字病院の研修プログラムが、皆さんの医師としての原点となり、確かな指針となることを願っています。

那須赤十字病院は、研修医を心から応援します!

那須赤十字病院は新幹線の那須塩原駅から車で15分ほどとアクセスが良く、都心へも気軽に出られます。研修医の皆さんは忙しい仕事をこなしながらも、基本的に9時から17時の勤務で土日は休めるので、那須の自然豊かな環境で心身ともにリフレッシュできるでしょう。研修医同士でBBQといったレクリエーションを楽しんでいるという話も聞いていますよ。

BBQの写真

空気がきれいな土地なので、私自身も近くにプライベート天文台を構えて、たまに天体観測会を開いて星空を楽しんでいます。普段はなかなか現地に行くこともできないので、遠隔制御で撮影した銀河や星雲などを天文雑誌に投稿したりしています。現地で観測会をするときには、木星や土星などの太陽系の惑星が見える時期を選んでいます。惑星たちを望遠鏡で直接見ると、小さいながらも縞や輪がはっきりと見えて、本当に太陽の光を受けて「温かい感じで」光っていると感動します。また、東京の狭い一軒家から栃木に移住したことで、グランドピアノを遠慮なく弾くことができる環境となり、ストレス解消と指先の運動を兼ねてピアノを弾きます。新しい曲をさらう時間と根気は今さらながらありませんので、ショパンのエチュードやバラード、ポロネーズ、前奏曲、夜想曲などお気に入りの十数曲ばかりですが繰り返し弾いています。中でも、エチュードの作品10-4や木枯らし、25-12などは指の運動にもなり手術に役立つと思いますし、革命のエチュードや前奏曲作品28-24などはストレス解消になります。また、数ある中でもト短調のバラードと夜想曲作品27-2は特に好きな曲で学生の頃からずっと弾いており、何回弾いてもその度に心が洗われる気がします。感情の起伏は誰にでもありますが、自分で適切にコントロールする訓練が大切です。多忙な中でも、リフレッシュする時間をうまく作ってほしいと思います。

銀河の写真

撮影日:2024年12月31日 那須烏山市(の河本のプライベート天文台)にて撮影

那須赤十字病院には、研修医を真剣に応援する仲間がいます。研修医が自分の力を信じられなくなったときも、私たちが信じて支える環境です。那須の地を医師としての始まりの場所としていただければありがたいと思います。お会いできる日を心から楽しみにしています。

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